シンギングバードの故障箇所と汚れなど代表的な部分を
載せましたのでご参考になればと思います


 ■この機械はドイツEmil Schmeckenbecher社の
 ムーヴメントが搭載されている、シンギング
 アラーム時計です

 外観の時計部分が大分傷んでいるようです
 まず、時計の文字盤カバーに亀裂が入っています
 また、長針のくり抜き部分が切れています

 亀裂の入った文字盤カバーは、交換が必要ですが、
 交換部品は、今では、手に入りませんので、ゼンマ
 イ式の昔のトラベルウォッチが安く手に入りますので、
 同じサイズが結構ありますので、探して交換します

   
 ■長針の亀裂は、蓄光塗料が剥がれ落ちている
 ので、塗りなおす時に修正します
 
 ■これは、ドイツのTOYシンギングバードのシー
 ソーフイゴです

 フイゴ幕(緑色)が劣化して、溶けて破れています

 ゴムは、どうしても経年劣化による亀裂や、溶解し
 てしまうので、シリコンゴムに取り替えると長持ち
 して良いようです    
 ■この部分は、間欠稼動時のストップアームゴムです
 やはり、ゴムチューブが差し込まれていますが、経年
 劣化で硬くなりボロボロになります

 新しく、交換しますが、自転車の空気入れ口の虫ゴム
 を利用すると良いです
 ■スピードコントロールファンのウォームギヤの亀裂
 これは、特に、シュメッケンベッヒャーのメカに多い
 破損箇所です

 初動しなかったり、稼動中”カチッカチッとノイズが出
 ます

 ギヤの交換が必要です
 亀裂部分を接着剤などで補修してもこの部分は、
 「圧入」しているので、直ぐ割れてしまいます
 また、補修ですと、ギヤの擦りあわせが悪くな
 るので、初動しません


 ■フイゴ蛇腹の破れ故障
 一番多い「囀らなくなる」故障です

 当時の蛇腹材質に紙が多く、経年劣化によりボロ
 ボロになり破れて空気漏れで囀らなくなります

 張り替える紙は、どんな紙でも良いと言うわけ
 にもいかず、厚すぎても薄すぎても駄目です

 厚すぎると、動きに負荷が掛り過ぎたり、
 折り曲げ厚みで、稼動範囲が狭くなり、十分
 な空気量が送れません
 薄すぎると、空気圧で膨らんでしまい、やはり
 十分な空気量が得られません

 リュ−ジュなどは、0.何ミリと極薄にナメした
 革を使っていますが、やはり経年劣化で、油分が
 なくなりパリパリになり破れてしまいます

 ■小鳥の羽の剥がれと乱れ
 小鳥の羽の多くは剥がれたり変色したりが多く
 復元補修に手間のかかる作業です

 当時の接着剤は経年で茶色くシミとして出て
 きて汚くなります
 また、接着剤も劣化、剥がれが多くなります

 補修には、同じ色の羽を使っても、既存の羽は、
 色あせしているので、色が合わないため、結局
 全部張り替えることになります   

 ■空気弁の開閉故障

 故障の原因となる物は、その殆どが経年劣化と
 稼動磨耗によるものです

 鳴くが、綺麗に鳴かないもののひとつに、空気
 弁の作動不良が上げられます
 鳴き方に、フイゴが動くのに合うような鳴き方
 をしている時は、大抵空気弁の作動がうまく動
 いていない時です

 写真の板の中央の丸い紙が空気弁です
 右の空気弁は開きすぎ押さえの紙が貼られて
 いますが、右は剥がれています
 しかし、劣化していますので、張替えが必要
 です

 空気弁の作動は、ビニールホース等で、一度
 空気の通りや遮断具合を確認してみる必要が
 あります
 それは、蛇腹を貼ってからでは、確認が出来
 ないからです
 

 ■空気逃がし弁(安全弁)

 この弁は、ホイッスルに行く空気を止めたときに
 フフイゴの圧力と動きに負荷が掛からないように、
 余った空気を逃がす弁です

 この弁は、貼り付いていたり、空気漏れがしたり
 しますので、新しい弁に交換します
 弁類は全て、密着性をよくするため、面を綺麗に
 仕上げます    

 ■小鳥の動き故障

 小鳥の動きは、ムーブメント上に乗ったロッドの
 上下で動きます

 しかし、ロッドが上下しているのにも関わらず、
 小鳥の口ばしや尾、首が動きが悪かったり動か
 ない場合は、小鳥の中のメカが硬くなったり破損
 している時です

 こんな時は、やはり小鳥をばらして中を見る必要
 があります

 時として、破損していない場合は、尾の隙間から
 潤滑剤を少量吹くことで直る場合があります
 小鳥をばらすには、羽を剥がさなければなりませ
 んので、一度ばらす前に試してみると良いです
 

 ■カムロッド(ロッカーアーム)の動き不良

 ロッドは数箇所に使われていますが、ロッドの動き
 が悪くなると小鳥動きや、囀りのタイミングが合わ
 なくなります

 動きの悪くなる原因として、ロッド軸のオイル劣化
 による粘りで軸が硬くなり動きが悪くなります

 Cワッシャー又はピンを外しロッドを抜き軸とメタ
 ル部分を綺麗にして、注油します    

 ■ホイッスルの不具合

 ホイッスルには、ピストンと空気遮断弁が組み込ま
 れています

 ピストンは、高低音を再現する部分です
 長い間に埃や油分でピストンの動きが悪くなるので、
 一度、抜いてピストンとホイッスル内部を綺麗にし、
 ピストンの滑りを良くします    

 ■ホイッスルピストンの手入れ

 ピストンは、アルミ製や真ちゅう製で出来ています
 長い間に表面が荒れてくるので、磨いて綺麗にします    

 ■空気弁の開閉故障(2)

 この弁は、薄いゴム製で、スプリング板で開きすぎ
 を押さえています
 ゴム弁は経年劣化で、溶けて貼り付いてしまうもの
 が多いです

 少量の空気で作動するか空気開閉確認をして、動き
 が悪い時は、シリコンゴム弁に交換をする必要があ
 ります   

 ■空気取り入れ、逆止弁とホイッスル空気遮断弁

 フイゴの底には空気取り入れや遮断弁があります
 この弁カバーが劣化で傷み、剥がれて空気漏れが
 起きます

 補修素材として、写真紙(光沢)を艶の無い方に
 接着剤を付けて貼ります

     

 ■各種弁類の開閉故障

 この弁は、一体型で出来ていて、中に丸弁が入っ
 ていますが、油脂や埃などで汚れ、貼り付いてい
 たり、べとついて動きが悪くなります

 手入れとして、弁周りの空気漏れ防止の塗料を剥
 がして取り出します
 次に、取り出した弁をベンジン(シンナー等は駄目)
 に付けて、ゆすり筆等で綺麗にして、開閉確認後取り
 付けます  

 ■ホイッスル空気開閉弁の故障

 ホイッスルに空気を送ったり止めたりする弁です
 カムアームからピンで弁を動かしています

 ピンの錆で動きが悪くなったり、弁の当たりが
 悪く空気漏れで、鳴きに切れがなくなり、フイゴ
 の動きに合った鳴きになります

 弁をばらして、擦りあわせと動きを良くします    

 ■フイゴの太鼓蛇腹膜の破損

 これも、囀らなくなる原因の多い故障です

 ゴム製ですので、経年劣化により、硬化、破れ
 破損します

 新しく、シリコンゴム製に交換します
 このとき、空気弁の開閉具合も見ておきます  

 ■ドイツ・エミール・シュメッケンベッヒャの
     シンギングバードアラーム時計

 写真のように、ひどい汚れようで復元できるか
 と思わせる小鳥部分の様子です    

 ■復元できました

 丁寧に埃を筆で落とし薄く各部分を着色金属部分
 は、軽く磨きました  

 

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